「人間らしく生きる」を探究する。宇宙物理学からAI起業家、そしてPROJECT anyのメンターへ

(論文発表会に参加する梅谷翼さん)
宇宙物理学の研究からAI領域での起業へ。原体験が動かした社会課題への挑戦
──梅谷さんの、これまでのご経歴について教えてください。
大学・大学院時代は宇宙物理学を専攻し、太陽系外にある土星のようなリングを持つ惑星探査をテーマに研究を行っていました。大学院の博士課程には最短3年のところ5年間在籍していたのですが、自分が関心のあるものに対して取り組めている時間として、研究が本当に楽しくて、ずっとこの探求の時間を続けていたいと思うほど充実した日々でした。
学部時代は吹奏楽サークルに入ってパーカッションを担当したり、学生団体「180 Degrees Consulting Tokyo」でNPO法人や一般社団法人向けのコンサルティング活動を行ったりと、幅広く活動していました。
現在は、学生時代から並行して続けてきた2つの軸で仕事をしています。ひとつはインターン生として参加して今にいたった、株式会社松尾研究所での業務委託としての大規模言語モデル(LLM)を活用したアプリケーション開発やプロジェクトマネジメント。もうひとつは、大学院博士3年の時に共同創業した、株式会社IGSAでの事業です。
プライベートでは、温泉や銭湯巡りを趣味としています。シェアハウスに住んでおり、20代から60代まで幅広い年代の人と一緒に、お誕生日会に参加したり、グループで遊びに行ったりと、自分と異なった価値観を持つ多様な人に触れられる機会を日々楽しんでいます。
──宇宙物理学からAI分野へ進み、起業されたきっかけは何だったのでしょうか?
宇宙物理の分野で自分が一番関心のあるテーマを専門に扱う企業があまりなかったことと、世の中の勢いのある流れに身を置きたいと考え、松尾研究所の学生インターンとしてAI開発の世界に入りました。
IGSAの創業は、松尾研究所のインターンで一緒だった仲間と立ち上げたのが始まりです。松尾研究所では起業支援プログラムが豊富にあり、特定領域のAIソリューションを提案するワークショップなどを通じて「このメンバーなら上手くやれそうだ」という手応えと意欲が生まれました。学生での起業は挑戦のリスクも低く、失敗したとしても、経験そのものが将来に生きると考えたため、不安はありませんでした。
IGSAでは、認知症の前段階である「MCI(軽度認知障害)」の兆候を音声AI技術で検出・チェックするアプリケーションの開発などを行っています。私自身、祖父母が認知症を患って亡くなったという経験があり、当事者意識をもって解決に取り組みたい課題だったことが事業の大きな原動力になっています。
「答えは自分で見つけて決める」。PROJECT anyで得た思考の軸と多様な出会い
──PROJECT anyに参加しようと思ったきっかけは何でしたか?
博士課程3年(27歳)の時に、SNSを通じて知ったことがきっかけです。当時は今後のキャリアについて模索している時期で、自分を見つめ直す良い機会だと思いました。
数あるコミュニティの中でPROJECT anyを選んだのは、一般的な就職活動のように「決まったゴール」が固定されていない点に魅力を感じたからです。高校時代の厳しかった部活での制約感や、昔から宇宙が好きだったものの周囲になかなかその想いを共感されなかった経験から、「個人がありのまま、人間らしく生きられること」に関わりたいという思いが強くありました。
PROJECT anyというコミュニティなら、多様なバックグラウンドを持つ面白い人たちと出会えると感じて、参加を決めました。

──梅谷さんはMENTOR WORKOUT(以下、MWという)を積極的に活用していますね。
MWは自分にとって、働く上での心持ちや日々のモヤモヤを整理する「お悩み相談」のような場として活用しています。博士課程において留年した際に、論文の仕上げ方について学内でアドバイスはいただいていたものの、何を変えれば論文が仕上がるのかがわからず、前に進めていない感覚がずっとありました。
その際に、MWにて相談を重ねる中で一番大きかった気づきは、「誰かに答えを決めてもらうのではなく、自分自身で答えを見つけて決めていくスタンスの大切さ」です。研究で行き詰まった時や課題に直面した際にも、自分で思考を深める軸ができました。
これまで参加されたプロジェクトやイベントの中で、印象に残ったものはありましたか?
現在、某メーカー企業のプロジェクトマネジメント(PM)を務めており、これもPROJECT anyで得られる経験の1つです。プロジェクトメンバーの中には、大学2年という若い年次にも関わらず、自身で農業体験のプロジェクトを企画・開催しているエニー生など、他のコミュニティでは出会えないような、各々関心があるものや特徴的なことに取り組んでいる人が多く、大きな刺激になっています。
また、エニーメイト・エニー生が100名近く集まるMUE(ミートアップイベント)では、リクルーティングを飛び越えて普段彼らがどのようなことに取り組んでいるか、どのようなことを考えているのか気持ちについて知ることができる貴重な機会になっています。
AIエンジニアの枠を超えて。社会貢献と知的探求活動を両立する「人間らしい」ライフスタイル
──今後は、PROJECT anyのメンター研修に参加する予定ですよね。
お世話になっているエニーのメンターに声をかけていただき、自分もそろそろ他の分野に挑戦してみたいな、と考え始めたのがきっかけでした。
仕事をしている中で、他者の成長と向き合うタイミングがあり、うまくいっている感覚を得られたため、メンターとしてこの技術を磨いていけば、AIエンジニアとしてだけではなく、自分の可能性が広がるのではないかと考えるようになりました。
── 梅谷さんが理想とするメンター像はありますか?
自分の通ってきた道と同じようなことをしたエニー生に共感したり、何を考えていそうか推測したりできるのではないかと思います。PROJECT anyのMWでは、答えを教えることはありませんが、エニー生と共に、彼らが何を目指しているのか一緒に探し出すことはできると思います。
エニー生にとって、メンター・メンティーの枠を超えて交流したい、と思えるようなメンターになることが目標です。特定の立場上としてのつながりにとどまらず、エニー生と、人生を通した「人と人とのつながり」を作っていきたいですね。
──これからのキャリアや、理想のライフスタイルについて教えてください。
AIの進化によって仕事の自動化が進む中で、「人間が人間らしく生きるとは何か」「生きる喜びとは何か」を常に考えています。私にとっての生きる喜びは、昼寝や銭湯・温泉で息抜きをする瞬間であり、自分の好奇心の赴くままに研究へ打ち込んでいる時間です。
将来的には、週3日仕事(社会貢献として)、週2日研究(知的探求活動として)、週2日休みというライフスタイルを目指しています。自分自身が満足できる生活水準を保ちながら、「誰かの役に立っている」という社会貢献の実感を持つこと、そして趣味という形としてでも自分の関心のある宇宙研究を並行して続けていくこと。社会への価値提供と個人の知的探求を両立させながら、自分らしく心豊かな人生を歩んでいきたいです。



